世界の宗教史 第2部 / 世界宗教成立編

部末まとめ

世界宗教・思想の成立

成立の歴史は一様ではありません。ユダヤ教の形成には王国と神殿をめぐる危機があり、インドの諸宗教では祭式・修行・解脱をめぐる問いが共有されつつ異なる答えが生まれました。中国の三教は人びとの実践の中で重なり、キリスト教はユダヤ社会から地中海の広い地域へ展開しました。

教えを残すには、伝える人と支える人が必要です。教師、僧、在家の信徒、教会、家庭、王権などが、その継承に関わりました。教典や教義も、長い編集・翻訳・討論を通じて形づくられました。完成した宗教が、そのまま歴史の出発点にあったわけではないのです。

次巻では、教えが地域を越えるとき何が起こるのかを見ます。仏教のアジアへの伝播、イスラム教の成立と拡大、中世の諸教会、日本の受容は、交易と国家を通じてつながっています。

本文を振り返る

  1. 第1章ユダヤ教の成立 ― 王国・捕囚・共同体
  2. 第2章古代インドからヒンドゥー教へ
  3. 第3章仏教の成立 ― 苦と向き合う教え
  4. 第4章中国の思想と宗教 ― 儒教・道教・仏教
  5. 第5章キリスト教の成立とローマ帝国
  6. 部末まとめ

資料で復習

写真と史料に戻って確かめる

本文の説明を、実物資料のどこに結びつけられるでしょうか。問いを選ぶと、資料と考え方の例へ戻れます。

  1. 共通のガラス技法を使うことは、信仰内容も同じだったという意味ですか?
  2. この像を、前2千年紀のヴェーダ祭式の様子を示す写真として使えるでしょうか?
  3. 文章にない人物が彫られているなら、この像は史料として役に立たないのでしょうか?
  4. 役人が母のために道教の像を作らせた例から、何を考えられますか?
  5. 313年の公認と、この4世紀後半の器を組み合わせると何が分かりますか?

この部の主な年代

  1. 前2千年紀後半以降
    ヴェーダの伝統

    口伝で讃歌と祭式が継承される。

  2. 前587/586年
    エルサレム神殿の破壊

    バビロン捕囚はユダヤ教形成の大きな転機。

  3. 前6〜5世紀頃
    釈迦・孔子らの活動

    南アジアと中国で、人間の生き方をめぐる教えが展開する。年代の確実さは人物ごとに異なる。

  4. 前3世紀
    アショーカ王の支援

    碑文から王の政策をたどることができる。

  5. 1世紀
    キリスト教の成立

    イエスへの信仰が地中海世界へ広がる。

  6. 70年
    第二神殿の破壊

    ユダヤ教では学習・祈り・家庭の役割がさらに高まる。

  7. 313年
    キリスト教の公認

    いわゆるミラノ勅令。国教化とは区別する。

  8. 325年/380年
    ニカイア公会議/国教化の転機

    教義の形成と皇帝の政策が関わる。